強迫性狂愛



「………」



どのくらい時間が経ったんだろう。


あれから、看護婦さんが一度だけ来て「今日退院してもいいのだけど、どうする?」と聞かれて「明日でもいいですか?」と聞けば「大丈夫よ、ゆっくり休んでね」と言われた。


…あっけない……


こんなにもあっけない。


おろしたその日にでも退院できるくらい…命を失くしてしまうのは、あっけない。



「う…っ、ぅう―…っ」



どこか冷静に考えている自分に反して、納得できなくて、未だにお腹の中に赤ちゃんがいなくなってしまったことが理解できなくて。



「う―…っ、…うあぁっ…」



声を押し殺しながら、たった一人で、泣くことしかできなかった。
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