強迫性狂愛
この喪失感を、他の誰でもない迅に埋めて欲しくて。


一人ではいたくなくて。


強く瞳を閉じて、願いながら電話の向こうの声を待った。



「…じ、ん?」



途切れた電話の向こうに静かに声をかけた。


途端に、溢れ出る涙を拭う余裕なんてひとかけらも残ってなかった。



「――…百花さん?」



やっと聞こえたと思った声は、待ち望んだ迅ではなく――…柚香さんの声。



「今、迅と食堂にいるの。――…何か」



最後まで聞きたくなんてなくて、バッと電話をきった。


耐えられない。


こんな気持ち…、耐えられない……っ!!
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