強迫性狂愛

「…なにって？」


「さっきから、鞄の中身ばっかり気にしてるから」


「あ、あぁ…うん、そろそろ帰ろうかと思って…」


「へぇ…そうなんだ」



ゴキュッとおかしな音を立てて、喉を鳴らしてしまう。


鞄の中にある携帯を強く握り締めた。



「帰るなら送っていくけど？」


「え…、いいわよ、大丈夫よ」



相変わらず全てを見透かしたような顔をする功は苦手。


今も、私の思っているのことを知っているんじゃないかって勘ぐってしまいそうになる。


…さっきから、私の携帯に何度も迅からの着信があるってことに。


柚香は、グッと唇を噛んだ。