強迫性狂愛
「百花になんと言ったのですか」


「………」


「百花は、黒澤様に、もう顔を見たくないと言われたと泣いておりました。それは本当ですか?」


「―…紅には関係ない。車を出せ」


「黒澤様!百花は…っ、百花のあの顔を見たのですか?あんなに憔悴しきった百花を、どうして放っておけるのですか…っ、―…黒様様っ!!」



紅の必死の言葉が届いたのか届いていないのか。


迅と、柚香を乗せた車は玄関を出て行ってしまった。


どうして…


あんなに幸せそうな穏やかな黒澤様は、百花があってこそだと、核心していた紅は、持っていた鞄を強く握り締めていた。
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