強迫性狂愛



「迅、あのね……」



恐る恐る俺に近寄ってくる柚香に、静かに視線をやった。



「…っ、ご、ごめ…」


「帰れ」


「ごめんなさい…」



静かに頭を下げて部屋を出て行く柚香を見送ってから、傍にあったイスに浅く腰掛けて、溜まっていた息を吐き出すと


パンッ!


俺の頬が一瞬にして熱くなった。



「母さん…」



イスに座ったまま、見上げれば唇を噛んで涙を零す母さんがいて…



「一体、何をしているの…。あなたは…」


「………」


「日を改めて来ます。百花さんには、ゆっくり休むように伝えてちょうだい」


「…わかりました」



母さんに叩かれた頬を、一瞬のうちになぞって、俺は百花の部屋へと向かった。
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