強迫性狂愛

なかったことにできたなら


――…



「百花」



迅が所用で部屋からいなくなってしばらくしてから、紅の声が聞こえた。



「紅」



私は、静かに体を起こした。



「お茶、しない?」


「ありがとう…」



紅には、ちゃんと話さないといけない。そう思っていた。


静かに、カップの中の紅茶をゆらゆらと眺めていると



「ごめんね…」



紅が、静かに口を開いた。
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