強迫性狂愛
「紅…、」
紅が謝る必要なんて、何一つないのに。
紅の思いつめた顔を見ていたら、こっちまで胸が痛くなった。
「私、何も気付かなかった。本当に―…ごめんね」
「いいのっ、私が…、いけなかったの…」
「体は?大丈夫なの?」
終始心配そうに私の手を優しく擦る紅に、我慢していた涙が零れ落ちた。
「平気だよ…」
「そう」
流れる涙を手で拭いながら、お互いに何も言わずに―…しばらく時を過ごした。
「百花、紅茶飲んで」
「うん…」
恐らく真っ赤になっているであろう瞳を押さえながら冷めてしまった紅茶を口に運んだ。