強迫性狂愛
「私ね、失いたくなかったの」


「―…赤ちゃんを?」



そう問いかけてきた紅に、静かに笑って首を横に降った。



「ううん、迅を」


「………」


「妊娠したら、陰華の巫女としての力を失うかもしれない、そう思ったらね…失いたくないって、迅の傍にいることを失いたくないって思ったの…」


「そう…」


「でもね、心のどこかで望んでいたことだったのに、実際…っ、いなくなってみたら、すごくっ、悲しくて…辛くて…っ」


「うん…」


「どっ、どうして…っ、産んであげなかったんだろうって…すごく―…っ、」


「うん、」


「だから…、私っ、私がわるいの……っ!」


「百花…」


「うぅっ、紅ぃ…私って我が儘だよね?ひどいよね?最低だよね…っ」



泣きじゃくる百花に―…なんて言ってあげればいいのか、適当な言葉が思いつかない。


百花が悪いわけじゃないと、そう言ってあげたくても…それは、気休めにしかならないような気がして、ただ、百花の手を握って撫でてあげることがしか―…できなかった。
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