強迫性狂愛
慌てて、口元に手をやると


翔くんは、フッ…と優しく目尻を下げて笑ってくれた。



「百花が帰りたくないなら、ずっと帰さないよ」


「翔くん」


「携帯もぜーんぶ、教室においてきたもんな。このまま逃避行でもするか?」


「逃避行?」


「そ、俺の家に来る?」


「でも、おうちの人に…」


「いねぇよ。日中は大概いねぇから、安心しろって。それに…、見せたいものあるんだ」


「私に?」


「あぁ」



その時の翔くんの顔がひどく真剣だったことに、少しだけ驚きながらも、静かにコクッと頷いた。





「お邪魔します…」


「誰もいないから入って」


「大きなおうちだね」


「そうか?黒澤の家に比べたらなんてことないだろ」


「でも……」


普通の家より何倍も大きい。
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