強迫性狂愛
「今日も図書室?」

なぜか迅は、HRさえも出ずに、朝から図書室で過ごすことが多かった。

勉強についていけないことを相談すれば、毎日家で紅が勉強を教えてくれた。


思えば、転校してきてから一度も授業に出たことがない。

これでいいの?と疑問を持ちながらも毎日、迅と過ごすことに違和感を感じなくなっている自分がいた。

慣れって言うのは、本当に恐い、そんなことを思った。


「今日は、出る」

「本当に?」


心なしか嬉しくなるのがわかる。

迅に続いて教室に入ると一斉に私たちに視線が突き刺さった。



「黒様だわ」

「ほら、あの…」

「ほんと迷惑」

「あいつってさ…」


聞こえてくる言葉は、決して気分のいいものではない。

だけど、今の私はここで生きるしか術がない。


お母さんにまで太鼓判を押された――…迅の側にいることが今の私の…最大限にできることなんだから。
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