強迫性狂愛

――…



「百花?」



百花の好きそうな甘い紅茶とお茶菓子を準備して部屋に戻ると、百花の姿が見当たらない。


不思議に思って、テーブルに紅茶セットを置いて、部屋を見渡していないことを再確認してから、廊下へと出た。


……どこに行った?


一旦、帰ってしまったのかと玄関まで行ったものの、靴があることに安堵してまた元の場所へと戻る。


携帯がないと不便だな…


そう思った矢先に、ふと、視界に入った僅かに開いている扉に、思わず背筋が凍った。


まさか


まさか…



「百花っ!?」



バンッと開いた扉の向こうの部屋には―…



「親父…っ」



薄気味悪く笑う親父と、真っ赤な顔で涙を零している百花。



「百花!」



俺は急いで、百花の下へと駆け寄った。
< 642 / 745 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop