強迫性狂愛



「百花、大丈夫か?」



うん、ともすんとも言わないももに、思わず眉を顰める。


泣きじゃくる百花の姿に――…知ってしまったのだと、悟った。


順を追って話したかったのに…


力の入らない百花の背中を支えながら、親父を睨みつけた。



「なんだ、翔。邪魔をするな…今百花さんに話をしていたんだよ」


「なんの話だよ」


「果音の話に決まってるだろう」


「―…いい加減にしろ」



親父を放っておいて、「百花、立てるか?」と話しかけると



「おかあさん……死んじゃったの…?」



百花の小さな言葉に、息を呑んだ。



「百花…」



その話は、話せば長くなる。


だから、せめて親父のいない場所で話そうとすると



「そうだ、死んだよ…。元々、千華家を出て行った時からこの運命は決まっていた」


「…親父っ!」



百花の気持ちも考えずに淡々と話し出す親父に嫌気がさす。
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