強迫性狂愛
「迅…」



やっと、開いた唇からは、弱々しく発せられる俺の名前。


涙声だということに気付いて



「どうした…」



百花の傍にゆっくりと足を進める。



「百花、大丈夫か」



優しく話しかける十河に、俺よりも傍にいる十河に、ひどく苛立ちながらも、百花を教室まで連れて行った頃には、休み時間になっていた。



「百花!どうしたんだよ!大丈夫か?」



駆け寄ってくる海斗に



「百花っ、」



涙目の紅。



「百花ちゃん、保健室に行ったほうが」



優しく声をかける功にも、僅かな視線を上げるだけで何の反応も示さなかった。


一体何があったのかと十河に視線を向ければ、罰が悪そうに、俺から視線を外した。
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