強迫性狂愛
家についてから、軽くお昼ごはんの準備を頼み、俺の部屋で百花をベッドで休めてやろうと思っていると



「迅…」



後ろから小さく聞こえた百花の声に、俺は言葉も返さず、百花の方へと視線をやる。



「迅……」


「どうした」


「………」


「黙ってたらわからない。どうした」


「…ごめんね……」


「………」



なぜ俺に謝罪するのか、…わからなかった。



「百花、なに…」


「ック、は、あぁぁ―…」



訳もわからず泣きじゃくる百花に、困り果ててゆっくりと抱きしめた。


優しくしようとか、そんな生易しい気持ちなんかじゃなかった。


抱きしめることしか、できなかった。
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