強迫性狂愛

――…



翔くんの家で、泣きつかれて眠ってしまった後、どうしようもなく迅に会いたくて、無理を言って学園に来た。


顔を会わせることさえ辛かった。


何を話したらいいのか、わからなかったはずなのに。


迅の顔を見ただけで、泣きそうになった。


…甘えて、縋りたくなった。


亡くなってしまった赤ちゃんのこと。


信じられないけれど、亡くなってしまったお母さんのこと。


どこにいるかわからないお父さんのこと。


どれが一番悲しいなんて


どれが自分の心の中で一番重たいかなんて。


図りようもなかった。


迅に縋ってしまったら、甘えてしまったら


赤ちゃんのことを、悲しんでいないように思えてならない気持ちもあった。
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