強迫性狂愛
許して欲しい
「お母さんが?」
目の前の迅の瞳が見開いた。
ゆっくりと、静かに首を縦に動かした。
「誰に聞いた?」
「翔、くんの家に…、あったの」
「十河の?」
「お母さんの…」
そこまで言って言葉に詰まる。
言ってしまったら、それが本当のことになりそうで言いたくない。
言ってしまったら、この現実を認めなきゃいけないみたいで…恐い。
この先の言葉を言うことに躊躇していると
「百花」
迅の言葉と共に、懐かしい清潔感溢れる匂いに包まれた。