強迫性狂愛
「話せ」


「…迅」


「俺は、お前を…」


「迅、もういいの。迅も言ったでしょう?あの時は、あれで……仕方なかったんだよ」



そう、自分に言い聞かせながらも、言葉がツキンと胸にささる。


痛い。


仕方ないなんて―…本当に…


自分を納得させるかのように静かに瞳を閉じた。



「聞きたいんだ…」


「…どうして?」


「あの日、聞いてやれなかった。俺が行っていたなら、百花は―…」


「もう、いいの。あの日は…、そう、妊娠したことを話すつもりだったよ……」



迅の僅かに見開いた瞳に、負担にならないように今の自分の精一杯の笑顔を向けた。
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