強迫性狂愛
「話して、迅に…話して…」



どう、したかったんだろう。


せめて、話してからおろしたいとあの時は願っていた。


そうすれば、おろした後も、迅の傍にいれると思っていたから。


だけど、迅は…あの時、本当に私の話を聞いていたら…どんな答えを出したのだろう。



「はな、して…」



そこで、言葉は止まってしまう。



「―…あの日、濡れたのが原因なのか?」


「え?」


「濡れて帰ってきただろう?それが原因で」


「違う、違うの…それは―…」



もしかしたら、それが原因かもしれない。


だけど、違う。


迅が来なくて、悲しくて、悔しくて、ずぶ濡れになったあの日―…


確かに、体に負担はかけたのかもしれない。


だけど、一番の原因は―…



「私が、悪いの…」


「百花?」


「私が…っ、悪…っ」



途端に、翔くんのお父さんの言葉を思い出す。


フラッシュバックのように、お母さんのことを思い出して、思わず自分の口を覆った。
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