強迫性狂愛
紅の態度に違和感を感じたまま――…

突然教室の扉が開いたかと思うと、飛ぶように入ってきたのは…


「おすっ!迅っ!」


ピンクブラウンの髪に、大きな瞳で失礼かもしれないけれど、可愛いらしい容姿をしている――男子。


「おはようございます。望月様」

「お、ゆかりん、おはよう!」

「ゆ、ゆかりん?」


確かに、紅の名前は由佳里だけど…明らかにゆかりん、って感じのキャラじゃないよね?

紅は、ボブの髪に猫目をした美人さん。

だから、「ゆかりん」は明らかに、微妙な呼び方…。

なんとなく、チラチラと「望月様」と呼ばれた男の人を盗み見てると


「お!なんだ、ちんちくりん」

「ち…?」


…んちくりん?


「ブハハッ!すげぇ、鼻の穴でかくなってんぞ?」

「な……っ」


思わず、バッと自分の鼻を押さえると


「なー、迅噂だぞー?毎日図書室で、ちんちくりんと乳繰り合ってるって」


おもしろそうに迅の前の席に腰掛けたまま、下品な言葉とはかけ離れた笑顔を振りまく彼は一体…


「望月 海斗様です」


私の心の中の疑問になぜか紅が答えを返してくれた。

< 67 / 745 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop