強迫性狂愛

「―で……、まぁ、聞きたいことはわかってるんだけど。一応聞くよ。何かな」


「…百花との婚約の話だ」


「…あぁ、そうらしいね」


「そうらしいって、まるで他人事だね…」



功のするどい視線さえ、一笑して、翔は迅に視線を戻した。



「言っておくよ」


「………」


「この婚約は、俺の本意ではない。…まぁ、そう言ってもなんの効力もないか。親父が聞かないんだよ。百花を絶対に俺と結婚させるって…。執着って、怖いね」


「親父？」


「…もしかして、百花から聞いてない？」



翔の眉を顰めた疑問に、迅は一瞬苛立ちを覚えたが、ため息を零して「聞いてない」と小さく呟いた。