強迫性狂愛
あの時の水の感覚。


お風呂は平気でも


海も、プールも本当に苦手だった。



「紅が泳いでるの見たら、勇気もらえるかも。泳ぐの見せて?」

「…そんなに苦手なの?」


心配そうに眉を顰める紅に、「大丈夫!」と軽く笑った。


「――何かあったら、大きな声で呼んで」


相変わらず心配そうに、私の頭を撫でる紅に思わずプッと吹き出した。


私のこと、過保護にしすぎだよ。


水しぶきを上げて、広く、深い…水の中へと飛び込んでいく紅。


フォームがとても綺麗で


お世辞なしで綺麗で…


あんな風に泳げたら気持ちいいんだろうな…って思ったんだ。

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