強迫性狂愛
「よ、よし…」


小さく気合を入れてから、パーカーを脱いでプールの水にゆっくりと体を沈めていく。


体が沈んでいくたびに、ゾクゾクと得たいの知れない何かが駆け上がってくるのがわかって嫌になる。


恐い…だけど…、いつまでも小さな頃の思い出を引きずっている自分に嫌気がさしているのも本音だった。


ゆっくりと、足を進めながら向こう側を見てみると、紅はもう向こう側にたどり着いていて、豆粒みたいにしか見えない。


早いんだ…


さすが、名門鷹城学園だよね。


私は少しだけ、水と戯れてよう…っと。


紅が来たら、泳ぎ方教えてもらおうかな。


指で水をはじいて紅が来るまで時間を潰そうとしていると


「宮原さん」


「……はい?」


声のした真正面に顔を上げれば、誰かわからない生徒が2人ほど立っていた。

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