強迫性狂愛
―――生まれつき俺は、体が弱く
外に出ることもできない、毎日することといったら薬を飲むことと勉学に励むことだけだった。
父親は、生活の殆どを外で過ごすことが多く、家には寝に帰るだけの生活で
母親は、仕事人間の父親に愛想を尽かしながらも、家のことを一生懸命守ろうとする…そんな人だった。
体は大きくはなっても、飲む薬の量は変わらず、そして追いかけるように「黒澤家長男」という無言の重圧。
何も
ただの一つの希望さえ持たずに、
求めずに。
ただ、求められるままに生きていた。
「黒澤家」として。
その逃れることのできない重い運命をただ、淡々と過ごしていただけだった。
深く考えて行動したところで何も変わることもないこの人生をただ、傍観することしかできなかった。