強迫性狂愛
すると


「……迅?」


ギシッとベッドが傾いたかと思うと、迅がベッドの中に入ってきていた。


「ちょ、や…あのっ、」


戸惑うままに、ギュッと抱きしめられる。


「………っ」


迅の匂いが鼻を掠める。

ここに来てからまだ2週間も経っていない。


それなのに、こんなにも迅に抱きしめられる感覚を覚えてしまった。


――…慣れて、しまった。


迅の匂いは


特に香水の香りがする訳でもなく、


煙草なんてもってのほか、とでもいうように


清潔感溢れるにおい。


そう、どちらかといえばこの匂いは――…病院の消毒液の匂いに似てる。


迅の大きな体に包まれたまま……


なぜか、安心感に包まれてしまっている自分に気付いていた。

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