強迫性狂愛
その思いをごまかすかのように、他愛のないことを聞いてみる。


「迅?」

「なんだ」

「助けて、くれたの?」


記憶の中では、おぼれた…から。


「あぁ」

「……ありがとう」

「いや、体は大丈夫か」


私をいたわるような優しい声に思わず、息を呑む。


そのまま、静かに顔を上げると


目を柔らかく細めたまま、私を優しく見つめる迅が――…いた。

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