Prologue
END.
一息ついて、
私はその本を閉じた。
本を丁寧にテーブルの上に置き、
大きく背伸びをする。
本を読み終えた後の興奮、
物語から抜けだせれないこの感じ。
やはりこの物語は素晴らしいと改めて思う。
「どうだった?」
ふと、私の後ろから声がした。
思わずびくりと肩を揺らす。
一瞬で広がった“恐怖”が
今の私を支配している。
…あぁ、忘れていた。
記憶を辿る。
そして私はこの声の主を理解し、
少しだけ安堵した。
そして答えた、
「 」
と。
あなたは優しく微笑む。
既に冷たくなった紅茶が
ほんの少しカップに残っていた。