Prologue
「キミは何と答えるかな」
夢中であの本を読み進めるあの子を、
ただじっと見ていた。
早く終われ、
早く終われ、
声には出さず、心の中で急かす。
けれど勿論あの子には届かず、
あの子はゆっくりとページをめくっていた。
そして、
やっと読み終えたあの子は、
本を置いて清々しい表情。
僕は興奮を抑えられないでいた。
早く答えを、と。
「どうだった?」
僕は声をかける。
未だ現実に戻れていないらしいあの子は、
肩を震わせおびえた顔をした。
だが、あの子は思い出したのか
口を開いて、
「面白かった」
…僕に向かって、そう言った。
あぁ、やっと。
全ての物語が、終結した。
───…end.