饅頭(マントウ)~竜神の贄~
「神殿はどこだよ!!」

 とっぷりと日の暮れた路頭に、虎邪の叫び声が響いた。

「何だよ、この町は! 小さいくせに、やたらと入り組んでやがるっ」

 お陰ですっかり迷ってしまった。
 しかも、町中に入るにつれて、周りの建物が高くなり、見通しが利かない。
 高いといっても、二階建てがせいぜいなのだが、人の背丈以上もあれば、坂道でもない限り、遠くのものを捜すことなどできない。

「神殿ってのは、ある程度立派な建物なんじゃないのか!!」

 道が狭くなり、見通しが悪くなっても、特に気にしなかった。
 何故なら神殿は大きなものだろうから。

 その辺りの小汚い民家とは違う、もっと立派で、高さもそれなりにあるはずだ。
 ある程度近づけば、おのずとわかろう。

 そう思っていた。
 それが---。
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