饅頭(マントウ)~竜神の贄~
そのころ虎邪は、川上の神殿で祈りを捧げていた。
普通ここで行われる祭事には、町の民が集まってくる。
だが今は、虎邪と緑柱(リュイジュ)に、老神官しかいない。
朝早いこともあるが、この人気(ひとけ)のなさは異常だ。
「ほんとにこの町の人は、素直ですねぇ。人払いを命じたら、皆ちゃんとここには近づかない」
緑柱が、感心したように辺りを眺めて言った。
祭事を始めるに当たって、虎邪は町の皆に、直接竜神に願い事をする大事な儀式だから、皆神殿には近づかないように、と触れを出したのだ。
こっそりできれば、そうしたかったのだが、それだと目的が果たせない。
川上で儀式を行う、ということを、またあの男に知らせる必要があったのだ。
今回の儀式は、あの男に罰を与えることが目的だ。
場合によっては、始末することになろう。
竜神が直接男に罰を与えてくれれば良いが、そうでなくても、虎邪が自ら手を下すつもりだ。
竜神の存在は、夕べ確認した。
後はこの祈りに応えてくれるかどうか。
普通ここで行われる祭事には、町の民が集まってくる。
だが今は、虎邪と緑柱(リュイジュ)に、老神官しかいない。
朝早いこともあるが、この人気(ひとけ)のなさは異常だ。
「ほんとにこの町の人は、素直ですねぇ。人払いを命じたら、皆ちゃんとここには近づかない」
緑柱が、感心したように辺りを眺めて言った。
祭事を始めるに当たって、虎邪は町の皆に、直接竜神に願い事をする大事な儀式だから、皆神殿には近づかないように、と触れを出したのだ。
こっそりできれば、そうしたかったのだが、それだと目的が果たせない。
川上で儀式を行う、ということを、またあの男に知らせる必要があったのだ。
今回の儀式は、あの男に罰を与えることが目的だ。
場合によっては、始末することになろう。
竜神が直接男に罰を与えてくれれば良いが、そうでなくても、虎邪が自ら手を下すつもりだ。
竜神の存在は、夕べ確認した。
後はこの祈りに応えてくれるかどうか。