饅頭(マントウ)~竜神の贄~
「・・・・・・しまったな。一刀のもとに斬ってしまった。もっとじわじわ苦しめてやろうと思ってたのに」
ずぶ濡れになった髪を掻き上げ、虎邪は呟いた。
そのとき、かさりと足音を立てて、木の陰から緑柱が出てきた。
「おっ、さすが、ぴったりだな。でももうちょっと早く来たら、俺の勇姿が見られたのに」
「見てたよ~。何か取り込み中だったから、下手に出て行って巻き込まれたら嫌だから、そこで見てたのさ」
ちょい、と緑柱が指す木の陰を見れば、そこには神明姫と老神官が立ち尽くしている。
二人とも、茫然とその場から動かない。
あ、と虎邪は、持っていた剣を鞘に収めた。
神明姫が、やたらと剣を怖がっていたのを思い出したのだ。
ずぶ濡れになった髪を掻き上げ、虎邪は呟いた。
そのとき、かさりと足音を立てて、木の陰から緑柱が出てきた。
「おっ、さすが、ぴったりだな。でももうちょっと早く来たら、俺の勇姿が見られたのに」
「見てたよ~。何か取り込み中だったから、下手に出て行って巻き込まれたら嫌だから、そこで見てたのさ」
ちょい、と緑柱が指す木の陰を見れば、そこには神明姫と老神官が立ち尽くしている。
二人とも、茫然とその場から動かない。
あ、と虎邪は、持っていた剣を鞘に収めた。
神明姫が、やたらと剣を怖がっていたのを思い出したのだ。