饅頭(マントウ)~竜神の贄~
「・・・・・・竜神は、まだ腹が減ってるのかな」

「わざわざ後始末まで、つけてくれようとしてるんじゃないの?」

「さっきの緑柱の言葉を、気にしてるのかもしれないぞ」

「良いことじゃない。貰った食べ物は、綺麗に平らげないとね」

 相変わらず悪びれることなく、緑柱は、よいしょ、と首のない男の腕を引っ張った。

「うう。ったく、このメタボのブタめ。俺みたいなスリムな奴には、持ち上げられないじゃないか」

 ぶつぶつと文句を言いながら、緑柱は男の死体を川辺に寄せる。
 虎邪は落ちていた腕を、ぽい、と男の上に放った。
 ざぱ、と波がうねり、川辺に置かれた死体を持ち去る。

「おー、有り難う~」

 虎邪と緑柱は、ぺこりと川に向かってお辞儀した。
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