饅頭(マントウ)~竜神の贄~
「くっ・・・・・・くっそ~~。紹介すらされてないぞ。おいこら緑柱。お前ももうちょっと、考えて上手く話を持って行けよ」

 廊下を二人で歩きながら、虎邪は大人げなく緑柱にあたる。
 緑柱も慣れたもので、特に気にもしないし、反省もしない。

「何がまずかったんだろうね。ま、鄙の田舎だから、しょうがないさ」

 涼しい顔で、訳のわからん理由で納得する。
 己の言い方がまずかったとは、露ほども思っていないようだ。

「ったく、何か厄介なことを押しつけられそうだしよ。水害を起こさないための祈祷だと? そんなもん、あるわけないだろうがっ」

 暗い廊下をずんずんと歩きながら、虎邪は神官にあるまじきことをぼやく。
 一応虎邪は、れっきとした神官だが、それは虎邪が神官に育てられたからの話だ。
 神に仕える身としては、虎邪はいささか現実主義すぎた。

「・・・・・・しかも」

 ぴたりと、虎邪の足が止まる。

「どこだよ、ここは!!」
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