饅頭(マントウ)~竜神の贄~
「・・・・・・あまりの素行の悪さ故、左遷されたってのも理由なんですがね」
何となく甘い雰囲気になっていたのも束の間、不意に呟いた緑柱の言葉に、神明姫の動きが止まる。
「左遷・・・・・・」
「神官派遣の要請が来たのを良いことに、ここぞとばかりに虎邪を遣わしたのですよ」
続く緑柱の補足に、ちらりと姫は顔を上げ、虎邪を見る。
虎邪はじろりと緑柱を睨み、再び笑顔で姫を抱く手に力を入れた。
「ま、そうとも言います。けど、俺にとっては願ったりでしたよ。ほら、考えようによっては、全てが運命なのです。ここから神官派遣要請が出たのも、それに抜擢されたのが俺であることも。そして、俺がここで姫君と会うことも。でなければ、あのように町中で迷っていた俺たちを、どうして姫君が見つけられましょう」
するすると口を突いて出る軽口は相変わらずだ。
何となく姫は、すっと気持ちが冷め、両手でぐいっと虎邪の胸を押した。
「何だか・・・・・・。混乱してしまって、何が何だかわかりません」
そう呟き、神明姫は身を翻すと、あっという間に駆け去ってしまった。
何となく甘い雰囲気になっていたのも束の間、不意に呟いた緑柱の言葉に、神明姫の動きが止まる。
「左遷・・・・・・」
「神官派遣の要請が来たのを良いことに、ここぞとばかりに虎邪を遣わしたのですよ」
続く緑柱の補足に、ちらりと姫は顔を上げ、虎邪を見る。
虎邪はじろりと緑柱を睨み、再び笑顔で姫を抱く手に力を入れた。
「ま、そうとも言います。けど、俺にとっては願ったりでしたよ。ほら、考えようによっては、全てが運命なのです。ここから神官派遣要請が出たのも、それに抜擢されたのが俺であることも。そして、俺がここで姫君と会うことも。でなければ、あのように町中で迷っていた俺たちを、どうして姫君が見つけられましょう」
するすると口を突いて出る軽口は相変わらずだ。
何となく姫は、すっと気持ちが冷め、両手でぐいっと虎邪の胸を押した。
「何だか・・・・・・。混乱してしまって、何が何だかわかりません」
そう呟き、神明姫は身を翻すと、あっという間に駆け去ってしまった。