饅頭(マントウ)~竜神の贄~
「あ、明日はちょうど満月です。月がちょうど真上に昇ると、あの森の祭壇前の川溜まりに、月が落ちたように映り込むのです。竜神の力が、最大になる刻なのですよ」
「明日・・・・・・ということは、明日の夜、ということですね? 今晩ではないですね?」
虎邪は机の向こうから、老神官の胸倉を掴む勢いで確かめた。
「ええ。ですから、厳密には明後日の明朝ということになりましょうか」
それを聞くなり、虎邪は椅子を蹴倒す勢いで扉に向かった。
緑柱が慌てて後を追う。
「虎邪。生け贄が、お姫さんだったの?」
神官の家を出、ずんずん歩く虎邪を追いながら、緑柱が声をかける。
ぼんやりしているわりに、一連のやり取りから状況を把握したらしい。
水占いで選ばれた串には、神明姫がしていた腕輪と同じ紋章が入っていた。
今まで行われていた、供物を捧げるだけの儀式はともかく、今回の儀式は、おそらく本物だ。
虎邪だって、れっきとした神官である。
加えて、自分で言ったように、神官としての力は、そこいらの平神官とは比べものにならない。
「明日・・・・・・ということは、明日の夜、ということですね? 今晩ではないですね?」
虎邪は机の向こうから、老神官の胸倉を掴む勢いで確かめた。
「ええ。ですから、厳密には明後日の明朝ということになりましょうか」
それを聞くなり、虎邪は椅子を蹴倒す勢いで扉に向かった。
緑柱が慌てて後を追う。
「虎邪。生け贄が、お姫さんだったの?」
神官の家を出、ずんずん歩く虎邪を追いながら、緑柱が声をかける。
ぼんやりしているわりに、一連のやり取りから状況を把握したらしい。
水占いで選ばれた串には、神明姫がしていた腕輪と同じ紋章が入っていた。
今まで行われていた、供物を捧げるだけの儀式はともかく、今回の儀式は、おそらく本物だ。
虎邪だって、れっきとした神官である。
加えて、自分で言ったように、神官としての力は、そこいらの平神官とは比べものにならない。