饅頭(マントウ)~竜神の贄~
「やべぇ! 今何時だ? 儀式が始まる!!」

 がた、と立ち上がった拍子に、読んでいた古い本を、ばさ、と跳ね飛ばしてしまう。
 やたらと分厚い本なので、吹っ飛んでいくことはなかったが、ページをめくるのもままならなかったほどの古さだ。
 たちまちぼろぼろと、ページが崩れた。

「うわっ!」

 慌てて虎邪が、本を押さえる。
 が、力を入れると、その部分も、ぼろ、と崩れてしまう。

「ちくしょう! 結構良い線行ってたのに!」

 ばん、と崩れた本の横に拳を叩き付けた虎邪は、その振動で現れたページに目を見張った。
 あのまま大人しく読み進めていたら、まだまだ辿り着けなかった、終わりのほう。

 がばっと虎邪は、顔を寄せて、一気に難しい古文を読み解いた。

「・・・・・・これは・・・・・・。そうか、これだ!」

 叫ぶなり虎邪は、書庫を飛び出した。
 緑柱が慌てて後を追う。
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