ワガママ王子に溺愛されて。
「もー、そんなん買うからだよ?あたしはこの後大事な用があるんだから、早くしてよー」
早足で歩きながらそう言って、可愛くくるんくるんとウェーブがかかった髪を揺らしながらこっちを振り向く花菜ちゃん。
私の両手にはさっき自動販売機で買った紙カップのジュースが握られている。
喉が渇いたから買ったんだけど、結果的にそれは邪魔になってしまっていて花菜ちゃんに迷惑をかけているのだ。
早く飲み干してしまいたい気持ちでいっぱいだけど、あいにく今の私は花菜ちゃんについていくので手一杯。
せめてペットボトルにすればよかったなぁ、なんて思いながら私は小さく溜息を吐き出した。