咲かない桜が咲くまで
「離して!」
「おわっ!」
暴れた私は、さっき血を吐いたのにも関わらず
抜け出せた春の腕から離れるように
女子トイレに駆け込んだ

「はぁ…はぁ…」
私は血を吐くほど身体が弱い
だけど、病院に入院するほどの金も余裕も
今の私の家には無かった

お母さんも必死に働いている
それを妨げるように、病院に入院なんてしたら
負担をかけてしまう…

それだけは、避けたい…

「琉良!」
チャイムがなって…
それからあとは覚えてない…
だけどこれは言える…

私はいつのまにか…
名前を呼ばれた声と同時に
倒れた…
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