咲かない桜が咲くまで
「それで…なんで、必死に語ってるのか不思議に思って歩いていたら
琉良が傷だらけで倒れてた…
涙一つ見せず…にね…倒れてた…」

それは昨日のことだろう…
痛みに慣れてしまい、涙はとっくに枯れ
叫ぶための声もまともに働かない…



「だから…我慢出来なくて…保健室に
お姫様抱っこして連れてきた…」
「うん…」
「話を聞いて、
誰の指図も受けないで、まっすぐ
生きてる琉良が好きになった」

私の顔が赤くなるのが分かった

「だから…抱きしめた…」
「あり…がと…」
「へっ!?」
「あの時はありがとう…」
私の口からでた言葉…

人を好きになれなかった私が
人を信頼しはじめた…

これは大きな進歩だと…私は思った…
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