咲かない桜が咲くまで
「春くんー…」
私が呼ぶと春が驚いて椅子から落ちた

ガタンっ!ズドンっ!

「いってぇー…」
皆が春を笑っている
それにつられて、私も笑ってしまった
「ひどいぜ…琉良ーぃ…」
「ごめんなさい…ぷっ…」
「なっ!?」

「琉良って小野寺?」
「こんな可愛かったけ?」
「えー、小野寺さん!?」
「きゃーちっちゃい」

扉の前に立っていた私を
皆がグイグイ引っ張りクラスの中に引きづられて行く

そんな様子を春が笑いながら見ていた
「あー雨だー!」
誰かがそう言ったので私は本来の目的を
思い出した

皆が窓に夢中になっている間に
私は春のそばにより
「春君、今日先に帰っていいよ…?」
と言った

「え?なんで?」
「傘持ってくるの忘れちゃって…」
「一緒に入る?」
「えっ…?」
「強制ね…」春が笑うと私は微笑んだ
春が私の頬にキスをした

そしてそれは誰も見ていなかった
< 38 / 78 >

この作品をシェア

pagetop