咲かない桜が咲くまで

「俺、咲夜 春」
しゅん…？
「そうですか…」それだけ返すと
私は保健室のベッドから降りた
お腹が痛くて思いっきり倒れた
「おい！大丈夫か！？」
「触らないで！」
大声で怒鳴ってしまった…
こういうのが虐められるんだ
春は私の腕に目をやり強く引っ張った
「何だよ…これ…」
虐められてるなんて言えない
言っても助けてもらえない
助けて欲しいとも思わない
私は春のつかんでる手を振り払った
「触られるの嫌か？」
「…そうですね…」
「虐められてるのか？」
「仮に虐められてると言って、貴方は
どう動くんですか?」
「……」
言葉に黙る春
確かにお母さん以外の人に優しくなんて
触られたことがない
慣れてないから、この人の優しさが怖い
そういった感情が私の心を支配した

「触られるのが嫌いなら
俺…悪い事したな…」
「…？」
「お前が倒れてるの見つけて
お姫様抱っこして連れてきたから…」
「お気遣い感謝します
だけど、もう大丈夫です…」
彼が申し訳なさそうに目を伏せるから
私は感謝の意を述べた

「それで…さっきの質問の答えは…」
「あっ、それはいいです…
変な質問してすみませんでした
これは私の問題なので
私が解決させます」
春の言葉を聞くのが怖い…
怖いから最後まで聞きたくない

「じゃあ…」
私が保健室を出ようとすると
何かに強く引っ張っぱられた
それは紛れもなく…