The Back Unit
せめて最後には会ってみたかったなぁ…
僕の両親に…
瞼を閉じると、そこにはいない見たことすらない両親の影が浮かぶ。
「じゃぁな、ボウズ」
そういって男の人が僕の目の前でナイフを振り上げた。
僕はもう何もすることができなくて、男の人達に囲まれうずくまるだけ。
抵抗なんてするわけないし、するきすらない。
もうお腹の痛みや恐さなんてどこにもなくて。あるのは唯一、寒さだけ。
(今更だけどすっごい寒いなぁ…)
そう思い、自嘲気味に笑って自分の最期を待った。
(さよなら−−−)
−−−全てに別れを告げた時だった。
「うるさいって言ってんのが聞こえないの?」
その声にハッとした。
それとなくだるそうで、しかし有無を言わさぬ響きがある。
とっさに目を開いてその声の主を探す。
(誰…!?)
キョロキョロと首を振って辺りを見回す。
(僕を助けてくれる存在かも知れない。もし…もしそうじゃなくても、今の声は僕にとって一つの希望なんだ…!)
男の人達も探すように首を左右に動かす。
そして一人の男の首が
−−−折れた。