天使が空から、降りてきた。
わたしは、目の前の彼を、少し
にらみながら、カレーを口に運んだ。
「ん!美味しい!!」
「でしょ!」
本当に、美味しくて、驚きだった。
私の味覚は、人間の味覚になって
しまった…。
だって、あんな、どろどろした、色の汚い
食べ物が、美味しい訳がない。
私は、今…人間なんだ。
美味しいのに、寂しくなった。
よっちゃんと遊んでいた天使のマリナ
は、もう、今は、いないんだ…。
「どうしたの?」
私の目にいっぱい涙が、溜まっているのを見て、
彼が、心配している。
私は、無言で、カレーをひたすら食べた。
「ごちそうさまでした…。」
これも、天使の学校で、勉強した言葉
の一つ。
天使にも、自由学校というのがあって、
自分の好きな時間に、勉強できるように、
なっている。
そのなかに、”人間界の学び”という
教室があって、そこで、人間界の事は、
だいたい勉強できるように、なって
いた。
カレーを食べ終わったので、私は、
席を立ち、店を出ようとした。
「待って。」