地下世界の謀略
なんだろう、捨てられた気分だ。
「……」
「……そんな目で見たって、連れていかないからな」
先程より少し緩んだ顔をしている青年だが、意思を変えるつもりはないらしい。
月は諦めて立ち上がった。
「……何処へいく?」
「戻る」
「あいつらと鉢合わせじゃねえか」
「じゃあなに、どうしたらいいの?」
────私は何処に行き着いたら、独りで生きていけるんだろう。
頼るべきものも何もない、道も知らない。
そんな中で私に何が残されてるって言うんだ、餓死しろって?
(やりたいことが、山程あるのに)
力なく拳を握りしめた月を見ている青年は何を思ったのか、襟元に顔を埋めてぽつりと溢した。
「…そんなもん、俺が知るかよ」
「………、」
「俺だって、どうしていいかわかんねーのに」
懐から除く拳銃が黒光りする。
よく考えれば、この時代に拳銃を持つ者なんて見たことがない。(地上では、なんだけど)
それほど醜悪な環境にあるというのか、地下世界は。
(…やっぱり、この世界を私は何も知らないんだな)