地下世界の謀略



風音が微かに変わる音がした。
違う、これは風音じゃない。三人は警戒するように身構えていた。といっても月は戦闘はできないので身を硬くするくらいではあるが。理貴さんも、懐に手を忍ばせている。

「…音が近くなっているわけではないな」

響いているのだ、音が。
風音よりもっと重い、うめき声よりは綺麗な。なんと言ったらいいのかいい言葉が見つからない。

「人間ではないことは確かだな、…進むぞ」

今更後には引けない。アルトに続いてわたし、最後は理貴さんで足を進めた。
三人分の足音がやけに空間に響く、これを人は緊張してるというのだろう。冷や汗が止まらなかった。


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