地下世界の謀略
「…こんな食材どこで?」
「この先に地上の日が漏れてるとこがあるんだ。そこが見つかってから、此処の奴等は皆そこで食材を育てて、分けあってる」
「へえ…」
「此処もまだ捨てたもんじゃねえだろ」
彼に指示された棚の上に袋を置いて彼を見ると、1つの林檎手に私に向けて伸ばしていた。
意味が分からず首を傾げたら、私の口に林檎を強引に押し付けてくる。
「……ちょ!なに、」
「新鮮な内に食え。朝飯はその後」
「アルトが作るの?」
「嫌なら林檎だけ食ってろ」
嫌味を言われるのには多少慣れてきたのもあって、敢えて何も言わず渡された林檎を丸かじりした。
「……酸っぱい」
「アンタの世界とは違うか?」
「うん。地上のは、もっと蜜の部分が甘い」
「気候は存在しないからな。湿度も気温も、滅多に上がらないんだ」
アルトはそういうけれど、気候がない割には少ない日の光だけでよくこれだけの作物が育っているものだ。
…確かに地上で食べた甘い林檎もすごく美味しかったと思う。
だが私はこの酸っぱくて、時間をかけて作られたものの方がよっぽど価値の有るものだと思えてしまった。