地下世界の謀略
暫くして脱いだ服を着直したアルトは、二丁の拳銃を懐と太股の衣服に引っ掻けた。
彼は傷を私に見せようとして脱いだのだろうけれど、私にとっては恥ずかしさだけでは済まない問題だった。
私が負い目を全て感じる必要はないと言い聞かせて。そしてブーツの紐を結び直し始めた彼に、ようやく私は話しかけることができた。
「……どこに行くの?」
「外。人に会いに行く」
「……ついていってもいい?」
アルトはその時ようやく私を見て、悩んだ末に軽く頷いた。月は顔を綻ばせると急いで外に出るためコートを羽織った。
「何処まで行くの」
「言ってもどうせ分かんないだろ」
「…そうですね。」
(まあ、でも)
てっきりずっとこの場所にじっとしていなくてはいけないと思っていた。元々落ち着きはある方だが、さすがに毎日部屋の中にいるのだけは勘弁したかったのだ。
「早くしろよ」
「ちょっと待ってよ!」
彼の女に対する気遣いというものは皆無らしいが、この時ばかりは外に連れていってくれる彼に感謝した。