地下世界の謀略
───嗚呼、私はこのまま死んでしまうのか。
錆び付いた茶色がこの空間を塞いでいるために、よりいっそう辺りが暗い。
今は夜なのかもしれない、微かに流れる風が酷く冷たかった。纏っている服を両手で擦り暖をとろうと試みるが、ちっとも暖まりやしない。
(これ、死亡確定コースだ)
思わず笑えてきてしまう。
今思えば地上に居たときだって生活に不自由があまりなかったとはいえ、幸せだとは言い切れなかった。
毎日の勉強、礼儀、そんなものを毎日繰り返して、今どうだろう。それが役に立ってると言える?
─────私を満たすものはあの世界にあったのだろうか?
(……救いは友達が一人、いたことか)
だがそんなものももう、支えにもならない。
誰もいない、独りぼっち。
─────────かつ、ん。
月は思わず俯いていた頭を上げた。
ネガティブが止まらない私の耳に響いたのは水が滴る音でもなく私の足音でもなく。
(………誰か、いる!)
願ってもみなかった、救いの音だった。