地下世界の謀略
『アルト、振り返っちゃだめだからね』
実験の果てに、白くなってしまった彼女の髪。
肌は雪以上に白く、縫合線がその手を覆う。
身体を包む布切れが頼り無く、そこから出る腕の細さも、存在の儚さを物語る。
俺は最期の瞬間でさえ、その手を伸ばせないまま半開きの唇から溢れる彼女の名前を、只管に繰り返していた。
『寧々』
嗚呼、頼む、なあ、頼むよ。
お願いだ。
この世で最も嫌いな世界の神様。
この何もできない体たらくを、裁いておくれ。
(目を瞑ると直ぐに、罪が己を責めるのだ)