二度目の恋
その喧嘩が始まるのを阻止しようと、恵子は解決策を言った。
「その前に、みんなの紹介が先ね」
 また静江が間を割って入り、続けて言った。
「まず、美月ちゃんの隣りに座ってるのが、芳井君ね。ヨッシー」
「宜しくね、美月ちゃん」
 芳井は笑顔で言い、美月も笑って会釈すると
「ちょっと太ってるけど、人はいいから」
 静江が付け足した。
「静江ちゃん、『太ってる』は余計だよ」
 芳井が言った。
「……で、その隣はたけちゃん。竹中君よ」
「宜しく」
 表情もなく、一言竹中は言った。
「無口なの。と言うか、照れ屋ね」
 竹中を庇(かば)うように、静江は付け加えた。すると
「照れるとすぐに、タバコを口に銜えるの」
 竹中はタバコを口に銜えていた。その光景に、美月は思わず吹き出し笑い
「……ね」
 静江も竹中に笑顔で言うと、竹中は思わず、口に銜えたタバコをまたケースに戻した。
「で、次は……愁ちゃん。愁ちゃんは知ってるわよね」
 美月は大きく頷いた。すると愁は、リュウの首を掴んで
「此奴はリュウ。僕の友達だよ」
 言うと、愁はリュウの頭に手をやり、ペコリと頷かせた。
「愁ちゃんの隣りにいるのが、恵子ちゃん。愁ちゃんのお母さんよ。私のお友達」
 恵子はにこやかに笑い
「宜しくね、美月ちゃん」
 言った。
「そして、下手な司会をしてたのが、私の夫でガン太よ」
「下手はないだろ」
 ガン太が言った。
「そして、ギャンブルばかりしている、駄目な夫なの」
「俺の事はいいんだよ!」
 静江に対し、珍しく怒り口調で言うと、美月を見て急に笑顔を振りまき
「美月ちゃん、宜しく。俺とヨッシーとたけちゃんは、小学校からの同級生なんだ。ま、それだけ信頼もあるってことだ。何でも相談しろよ。協力するぞ。もう、美月ちゃんは俺達の仲間なんだから」
 気を大きくして言った。
「そして私が静江よ。古希静江。何でも聞いてね。この村では、気のいいお姉さんで通ってるのよ」
 静江はそう言うと、みんなの顔を見
「さ、一通り、紹介は終わったわね」
 言ったとき、部屋の端に座っている唯に気づいた。
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