二度目の恋
「あ、ごめん。まだ唯ちゃんがいたわ」
「ちょっと、静江さん酷いよ」
 膨れていた。
「ごめ~ん。はい、唯ちゃんどうぞ」
「美月ちゃん、こんばんは。浅倉唯と言います。みんなよりちょっと年下だけど、一番しっかりしてると思うから何でも聞いて。料理とか得意だし、何か好きな物があれば、作ってあげる」
 唯は、満足そうに言った。
「有り難うございます」
 美月は言った。すると
「こいつ、こう見えても男だからね」
「ちょ、ちょっとガンちゃん!」
「ある物あるから」
 芳井が言った。
「ちょっと!」
 ガン太と芳井が間に入って、唯はふて腐れた。そこに
「しかも、デカイんだよ」
「愁!」
 愁まで割り込んだ。その言葉で
「えっ?」
 静江は反応して、思わず唯の股間を見た。
「ちょ、ちょっと静江さん、何見てるの!それに何で愁が知ってるんだよ」
唯は、反射的に股間を押さえて言った。
「こないだ、一緒にお風呂に入ったとき、見ちゃった」
「……タクッ」
 静江は顔を上げ、チラッとガン太の顔を見た。
「因みに私の夫のは、小さいです」
 平然とした顔で言った。
「おい!俺は関係ないだろ!」
 そのみんなの姿に、美月は楽しそうに思わず、吹き出し笑った。
「美月ちゃん、楽しそうね」
 恵子が愁の耳元で囁くと、愁はそんな美月の姿を見て頷いた。竹中は、みんなの会話をただ黙って聞きながら、タバコを吹かしていた。
「じゃあみんな、美月ちゃんに質問よ」
 静江が言った。
「美月ちゃんは、何て言う村から来たの?」
 まず質問したのは、芳井だった。
「はい、この村から二つ山を越した、美天(びてん)村(むら)という村から来ました」
 答えた。
「あら美天村って、亨ちゃんがいた村じゃないのかい?」
 静江が言った。
「そうだっけ」
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